フロッタージュ◆LIVE/2002/11/26(火)at 吉祥寺 曼荼羅
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今回のライブメンバー:8人+1匹(前回は7人+1匹)

  ワタナベ..............Vocal+Guitar..............センター
  ヨアン..............Percussion+Chorus..............向かって左
  イノッチ☆..............Performance+Vocal+Chorus..............向かって右
  小池順一..............Guitar..............向かって右奥
  ちこちこ..............Performance..............ステージ下・右脇 → ドラムセットの椅子
  松井崇..............Bass..............向かって左奥
  カオル..............Guitar+Performance..............後方ドラムセットの左
  ムトゥ..............顧問..............客席

  フロッタ君..............マスコット..............ドラムセットのバスドラ上に鎮座
(セッティング中)

おや、ADがいるよ。と思ってよく見たらちこちこちゃんでした。インカム付けてボード(スケッチブック)持って、ステージすぐ下の右端から、セッティングの様子を見守っています。客席に向けて掲げているボードには[しばらくお待ち下さい]の文字。[もうしばらくお待ち下さい][あと少しお待ち下さい]と少しずつ変化。そしてステージに向けて声で指示。「本番5秒前、4、3、…」
[SILVER]

照明がワタナベさんのみに当たる。他メンバーは、動きを停止。そのまま、ワタナベさん一人きりで打ち込みオケに合わせて歌い始めました。ADちこちこちゃんは曲タイトルを書き記したボードを客席に向けて提示。初めて聴く曲だけれど、いいな。目の奥にツンと来るような感覚がしました。ちょっとせつないような、染み込んでくるようなメロディ。歌詞に合わせて、左手でポケットの中から銀色の硬貨を取り出していました。右手にはパワーグローブ。
[イングリッド]

ここからはメンバー全員で。この曲、バンドサウンドになってからは初めて聴いたので、CDとの印象の違いにびっくり。イノッチ☆は、ガンダムに出てくる緑色の丸いロボット[ハロ]をテーブルに置いて操作。自動的に羽が開いたり閉じたり。カオルくんはギターを持ってはいるものの弾かず、パワーグローブをした右手を胸の前に掲げたまま、微動だにしません。しかも体は横を向いたまま。ハロも気になりますが、カオルくんも気になります。
[シニシストのモンタージュ]

銃声がパン! イノッチ☆が短銃を鳴らしていました。カオルくんは煙草をふかしてます。ギターは弾かず。銃声も煙草も、曲のイメージにものすごく合っていてカッコイイ。曲の途中でふと見ると、短銃がいつの間にか長めの銃になっていました。いつの間に。
“単純な作業は猪木の物真似をしながらやるとイイ、と教わったけれど、猪木の物真似はできないのでブラフマンのトシロウの真似してます”というようなことを言いながら真似るイノッチ☆。あと[筋肉マン2世]の話とか。ADちこちこちゃんは[しばらくお待ち下さい]ボードを出してました。
[撹拌(カクハン)]

ヨアンちゃんは竹製の口琴(口に当てて振動させてビヨーンと鳴る楽器)を演奏。カオルくんは相変わらずギター弾かずに、パワーグローブのボタンをいろいろ押してます。イノッチ☆は[黒ヒゲ危機一髪]をテーブルに置いて、樽にナイフを刺していきますが、1本目で当たって飛び出ていました。わ、あまりにも早く飛び出ちゃったけどこの後大丈夫なのかしら、と思ったら、動じることなく人型フィギュアを取り出して、それを頭側から樽に突っ込んでます。えー。刺すナイフはまたも、早めにヒット。この後は、、と思ったら、なんと食パンを取り出した! それをたたんで細くして樽に突っ込んでます。ええー。“食パン=投げるもの”という'90sニューウェイブの常識(そんなものあるのか)を打ち破って、樽から飛び出させてしまうという。恐れ入りました。
ここでイノッチ☆が不意に退場。ステージを後にして、奥へ消えて行きました。1曲ごとにタイトルを記したボードを掲げていたちこちこちゃんはADを終えてステージに上がり、ドラムセットの椅子へ。
[BLUE FILM]

ヨアンちゃんは鈴を鳴らし、ちこちこちゃんは手話を。カオルくんは(たしか)この曲でようやく、手にしていたギターを弾き始めました。ワタナベさんが歌いながらときどき客席を指さすので、なんだろう?と思ってその先を見てみると、わ、さっき退場したイノッチ☆がいる。どうやら客席後方の入口から入場してきた模様。歩きながらポラロイドカメラであちこちを撮影しています。ステージも見たいしイノッチ☆の動きも見たい。ライブならではの、この葛藤が楽しいです。
ライブ告知をしつつ、イノッチ☆による[フロッタージュ年末企画のボツ企画名]発表。スケッチブックで。内容はこんな感じです(後に公表されていたので、メモさせていただきました)。元ネタはいくつわかるか?! ちなみに正しい企画名は[オートマティズム・1stセッション]。ちこちこちゃんも後ろからスケッチブックで[先本さんおめで][とう]と出してました。お誕生日おめでとうございます。どなたなのか存じませんが。フロッタCDの宣伝を終えたヨアンちゃんの視線が、ワタナベさんの手元のステージドリンクに止まって動かない。“取っ手が付いていて飲みやすい”とワタナベさんは説明しながら飲んでいますが、それってクレマトップ(コーヒーに入れるミルクのボトルタイプ)…。うまい棒での恒例儀式(全員で1本ずつ持って、天に向けて先端を合わせる)も終えて、次の曲へ。
[Fade of mine]

ギターのカッコイイ曲。トリプルギター。ちこちこちゃん、[日本語訳]をスケッチブックで掲げます。ほほう、と見ていると[東の上空から黄色に光る物体が…]ってそんな怪しい歌詞じゃないはず…。イノッチ☆は青いエコーテルミンを操作。
[マントラ]

ワタナベさんが指先で印を結んでいき、ヨアンちゃんとちこちこちゃんも続けて印を結んでいきます。カッコイイ。ヨアンちゃんは印の名前らしき言葉を言いながら。間奏中に、音が止まるトラブル。ここでワタナベさん一言「これがテクノだ」! きゃー、平沢進さんの名言。生演奏以上に何が起こるかわからないのがテクノ、と続く平沢さんのMCはP-MODELのライブアルバム「PAUSE」で聴くことができます。イノッチ☆のAメロボーカルは何度聴いても何度観てもカッコイイ。歌う部分のメロディや詞が、声と合っていますね。
[大本営発表]

ラスト曲。ちこちこちゃんは日本国旗を振りかざし、イノッチ☆は銃を構える。ワタナベさんは途中で赤い長いモノを振り回していましたが、何だろうアレ。そんな印象強いパフォーマンスに負けない演奏も見事。ギターとベースのカッコよさを堪能できました。終わる部分で「ア゛ーッ!!」と叫ぶコーラス。暗転。
観終えて:最初から最後まで充分楽しめました。ADにはびっくり。企画イベントに出演した直後のライブというのは、印象が薄まってしまわないか心配になったりするのですが、全くそんなことはなく、パフォーマンスも演奏もとても濃厚でよかったです。新鮮さがまだまだあります。毎回異なるステージを行うのは本当に大変だと思いますが。ところで以前からなんとなく持っていた感覚が今回ハッキリわかって、それは、フロッタージュは演劇の匂いがする、ということ。MCの端々で言葉遊びのようなことをしていたり、パフォーマンスに淡々とした部分があったりと、具体的な理由も浮かびますが、何よりもステージ上の空気が芝居のそれと似ています。サイトのプロフィールを読むと、演劇的な嗜好を持つメンバーが何人かいるようなので、意図したものなのかもしれません。他のミュージシャンのライブではなかなか味わえないこの感覚。フロッタージュ独特のこの空気感。これはものすごい強みだと思います。まだまだ目が離せません。
次回の見どころ:2002/12/30(月)at 吉祥寺 曼荼羅:初の自主企画! 対バンは東京60WATTS、カーブ、moo-Chies! 鍵盤演奏のステキなバンドばかり! フロッタージュはステージ人数やたら多いとの噂! どうなることやら!
フロッタージュ公式サイト → http://frottage.infoseek.ne.jp/
text by miminari / ライブレポ目次